事業承継を弁護士に依頼するメリットとは?タイミングも紹介
事業承継の際に必要となる承継方法の決定や法的手続きなどは、複雑で専門性が高いので、個人で行うには負担が大きいといわざるを得ません。
今回は、事業承継に関する二つのパターンについて、弁護士を関与させるメリット等について解説します。
事業承継のパターン
事業承継には、大まかに分けて、現経営者から後継者、すなわち、次世代の子どもや、番頭格の部下等のいわば身内に事業をバトンタッチするパターンと、現経営者から、後継者に恵まれなかったり、事業継続が困難となったりしたため、同業他社等に第三者に身売りするパターンがあります。
親族に経営権を譲る親族内承継
事業承継のうち、現経営者から次世代の子ども等にバトンタッチする親族内承継のパターンは、要するに中小企業の代替わりであり、相続問題と密接な関係があります。
子ども等の(推定)相続人を後継者にする場合は、株式や事業用資産を売却したり、生前贈与したり、或いは、これらを集中して相続させる遺言書を作成するという簡単な方法があり、また、株式を信託するという方法もあります。
しかし、これらの方法は、会社の内容が良ければ良いほど高額の贈与税や相続税が課されるという難点があります。これを避けるために少しずつ売却・贈与する方法もありますが、相当長期間を要することになりますので、いわゆる事業承継税制(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除制度・非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除制度)を活用して、贈与税や相続税を回避することになります。
このように、親族内の後継者にバトンタッチするパターンの事業承継では税務問題の比重がとても大きいため、多くの場合、税理士(公認会計士)が関与・主導して一種の節税スキームを構築し、これを実行することになります。しかしながら、いずれの方法を採用するにしても、共同相続人から、株式や事業用資産を集中的に取得する後継者に対して、特別受益者として相続分を減らすことを請求されたり(民法903条1項)、遺留分侵害請求をされたり(同法1046条)、遺産分割を巡って不公平が主張されたり、事業承継のために集中されるべき資産(特に株式)の評価額を巡る紛争が発生し、スムーズな事業承継が困難になる場合が往々にしてあります。
ところが、このような場合、税理士(公認会計士)は、後継者とその他の共同相続人間の利害調整に関与することができませんから、できれば、事業承継のための節税スキームを組む時点から相続を見据えて弁護士に相談し、スムーズな事業承継の準備をしておくことが非常に重要になります。
親族以外の従業員などに経営権を譲る親族外承継
事業承継のうち、現経営者から長年会社を支えてきた役員や従業員にバトンタッチする親族外承継のパターンは、社内業務を熟知している者に引き継ぐことが多いため、円滑な経営権の移行が期待できます。
しかし、個人で株式や事業用資産を買い取るための資金調達が難しく、いわゆるマネジメント・バイ・アウトの方法がとられる場合以外、行われていないのが実情です。
社外の者に経営権を承継するM&A
事業承継のうち、現経営者から、後継者難や事業継続難のため第三者に事業を移管するパターンは、一般的に身売り或いはM&Aと呼ばれています。
株式譲渡(会社法127条)、事業譲渡(かつては営業譲渡といわれました。同法467条~)、合併(同法748条~)、会社分割(同法757条~)、株式交換(同法767条~)、株式移転(同法772条~)、株式交付(同法774条の2~)等、会社の事業や会社自体を第三者に移管するいわゆるM&Aです。
M&Aにおいては、事業や会社を手放す旧株主(オーナー)・経営者が、金銭や買手側の会社の株式等という経済的利益を得たり、身売り後の会社や買手側の会社の役員に就任して一定期間報酬を得たり、自社物件は残して事業を承継してくれた会社に賃貸する大家業に転換したりする場合もあります。
このように、M&Aは、多様な選択肢を組み合わせて計画立案・交渉・実行と進める必要があり、その全ての段階で高度な法的な判断が求められますから、必然的に弁護士の専門的知識が不可欠となります。
事業承継について弁護士に相談するメリット
事業承継について弁護士に相談することには、次のメリットがあります。
親族内承継によるトラブルを防ぐためのアドバイスが得られる
事業承継のうち、次世代の子ども等にバトンタッチする親族内承継のパターンは、税務問題と相続問題と不可分です。
ところが、多くの場合、税務問題だけに関心が寄せられ、親族=共同相続人間でのトラブル発生の可能性は等閑視されています。
弁護士に子ども等への事業承継について相談することで、特に承継後のトラブルを避けるための公平な資産分配や遺言書の作成などについても併せてアドバイスを受けることができるというメリットがあります。
M&Aにおいて利益が最大化するためのサポートを受けられる
事業承継の内、第三者へのM&Aのパターンは、そもそもどのような方法を選びどのような利益を確保するのかという選択肢が非常に広いうえ、買い手との交渉や契約書の作成において法的な知識を要します。
また、M&Aは、コンサルタント会社やシンクタンクが売手と買手の仲介をして手続を進める例がかなり多いのですが、手数料を早く確実に得ようと、かなり強引に手続を進めがちでその際、確認・合意しておくべきであった点を素通りしてしまうこともあり、思わぬ禍根を残すことになります。
このように、M&Aにおいては、仲介会社の構築したスキームに乗るとしても、弁護士にスキームそれ自体や進行手続上の問題点や遺漏を補うこと、交渉、各種手続及び書類の作成等を包括的に依頼することは、利益を最大化するために有効というより、不可欠です。
事業承継後も経営について継続的なフォローを受けられる
事業承継の完了後も、弁護士による法的な観点からの継続的なフォローを受けられます。
事業の承継手続きを進める中で、それまで発覚していなかった経営上の問題点が見つかることもあります。
このような場合に、専門的な観点からのアドバイスを得られることは、弁護士に事業承継を相談するメリットです。
事業承継について弁護士に相談するタイミング
弁護士に事業承継を相談すべきタイミングとしては、以下が考えられます。
事業承継実行の5年から10年前
事業承継のうち、現経営者から次世代の子ども等にバトンタッチする親族内承継のパターンは、計画の策定から実行まで長い期間を要することが多くあります。
特に、金融機関等では、経営者がある程度の年齢に達した融資先について、後継者の有無を評価の対象としており、後継者の候補さえもいないとなると、長期的に融資を引き揚げて行く方向に軸足を移しますから、5年から10年後を見据えて後継者の候補を定め、同時に、弁護士に相談し、計画の策定を開始することが有効です。
また、後継者へ株式を譲渡したり役員に就任させたりする際の法的な手続に瑕疵があると、それ自体が社内や親族間の内紛の元になりますから、手続の円滑な進行には、弁護士への依頼は欠かせないものといえます。
M&A計画・提案時
事業承継の内、第三者へのM&Aのパターンでは、自らM&Aで身売りをすることを計画してコンサルタント会社やシンクタンク等の仲介会社に依頼する段階、逆にこれらの仲介会社から買手やプロジェクトの提案があった段階で依頼することが不可欠です。
特に仲介会社の中には、M&Aの売手と買手の双方に手数料を請求したり(これでは、一方の依頼者のために最善を尽くすことが期待できません。)、「やらずぼったくり」であったり、法外な手数料等を請求したりする実例も散見されますし、結論を急ぐあまり大事なポイントを素通りしてしまうこともありますから、弁護士を「お目付け役」としてだけであっても依頼する意味があります。
まとめ
今回は、事業承継を弁護士に依頼するメリットや、相談を検討すべきタイミングについて解説しました。
事業承継の際には、計画から実行後まで、法的な専門知識が必要とされる場面が多くあります。
事業の承継を考えられている場合には、早めに弁護士に相談することを検討してください。
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弁護士紹介
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三堀 清
(みほり きよし)
弁護士の存在意義は、法律的紛争の予防・回避と、
発生した紛争の早期解決の実を挙げることに尽きます。
私どもは、一般民事・刑事事件の分野並び企業法務及び取引に関する分野での経験に裏打ちされた専門性と新しい法律問題にも斬新な手法をもって挑戦する柔軟性を武器に、迅速な対応により、依頼者の方々に結果をもってお応えすることを使命として、日々実務を通じた研鑽を進めております。
- 所属
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- 第二東京弁護士会
- 経歴
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- 昭和32年 生まれ
- 昭和56年 早稲田大学法学部卒業
- 昭和60年 司法試験合格平成8年
- 早稲田大学大学院法学研究科(企業法務専攻)修了
- 平成9年 港区新橋に三堀法律事務所設立
- 平成14年 三洋投信委託㈱(現プラザアセットマネジメント㈱)監査役就任(平成16年まで)
- 平成15年 千代田区有楽町に事務所を移転
- 平成17年 ㈱ニチリョク監査役就任(平成29年まで)
- 令和6年 三堀法律事務所が丸ビル綜合法律事務所と合併
事務所概要
Office Overview
| 名称 | 丸ビル綜合法律事務所 |
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| 受付時間 | 平日 9:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能です) |
| 定休日 | 土日祝、年末年始(事前予約で休日も対応可能です) |
| アクセス | 東京駅,二重橋前駅から徒歩2分 |
