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他社と契約を締結するときに確認すべきポイント

ビジネスにおける契約は、当事者間の合意を法的な拘束力を持つ形として残すための重要な手段です。

自社の正当な権利を守り、予期せぬ不利益を回避するためには、契約条項を精査する必要があります。

今回は、他社と契約を締結する際に重点的に確認すべきポイントについて解説します。

1. 契約の主体と目的の特定

 

契約を締結する場合、相手方の名称や住所が、登記事項証明書などの公的な書類と一致しているかを確認することが第一歩です。

略称や通称で記載されていたり会社でないのに会社を名乗っているような相手方はそれだけで信用に値しません(極論すれば取引するべき相手ではありません。)し、万が一の法的措置を講じる際に支障が出ます。

2. 業務範囲と給付の内容

 

「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかという、具体的な義務の内容を詳細に定義します。

ソフトウェアの開発やコンサルティングといった業務委託契約に多いのですが提供されるべきサービスの内容さえ曖昧な契約書もあり契約書の文言からは言葉は悪いのですが「やらずぼったくり」さえ容認されている例もあります。

提供されるサービスや成果物の仕様、納品の形態、および検収の手順を客観的に判断できるよう、具体的にすることが大切です。

3. 対価の支払い条件

 

報酬の金額だけでなく、以下のような支払いのタイミングや方法についても厳格に確認します。

 

  • 消費税の扱い
  • 振込手数料の負担者
  • 支払期日

 

また、成果物の納品後に支払うのか、あるいは着手金が必要なのかといったことも明記する必要があります。

4. 知的財産権の帰属

 

業務委託や請負等の成果物が発生する契約において紛争になりやすいのが著作権や特許権などの知的財産権の取り扱いです。

受託者や請負人に権利が残るのか、あるいは対価の支払いとともに委託者や注文者へ移転するのかを明確に定めます。

移転する場合でも、著作権の場合には著作者人格権の不行使条項を含めたほうが良いといえます。

5. 秘密保持の義務

 

引を通じて知り得た相手方の情報を、第三者に漏らさないことを誓約する条項です。

秘密情報の定義が広すぎないか、あるいは有効期間が適正であるかを詳細に確認します。

契約終了後も数年間は秘密保持義務が継続するように設定することが一般的ですが、その期間が自社の事業にとって負担になりすぎないかを考慮する必要があります。

コンサルティングに関する契約に散見されるのですが秘密保持条項の中にコンサルタント会社・シンクタンクが受託したコンサルティング業務により知り得た顧客側の情報を研究や分析の目的で利用できるという内容の例外規定がしのばされている例があります。これは業務を通じて委託者から得たノウハウを他の顧客(委託者のライバル)に提供してもよいというに等しく非常に危険です。

6. 損害賠償と責任の制限

 

債務不履行や不法行為によって損害が発生した際の、賠償範囲や金額の上限を確認します。

相手方にのみ有利な一方的な規定になっていないか、あるいは賠償額に「上限なし」という条件が含まれていないかを精査することが重要となります。

たとえば、「契約金額を上限とする」といった責任制限条項を盛り込むことは、想定外の巨額賠償によって経営が破綻するリスクを避けるために必要です。

7. 契約の期間と解除条項

 

契約がいつまで続くのか、そしてどのような場合に中途解約ができるのかを定めます。

継続的な業務委託等の契約では注文者・自動更新の条項がある場合、解約したい際にいつまでに通知すべきかを定めておくことが大切です。

また、相手方の信用状態が悪化したり、重大な契約違反があったりした際に、催告なしに即座に解除できる「期限の利益喪失」や「無催告解除」の条項が含まれているかを確認することも重要となります。

8. 反社会的勢力の排除

 

反社会的勢力との関係を遮断する条項は、どのような契約においても「鉄板条項」でありこれがないと逆に反社会的勢力との関係を疑われる危険すらあります。

自社の信用を社会的に守り、健全な企業運営を行うための重要な条項といえます。

9. 裁判管轄と準拠法

 

紛争が発生した際に、どこの裁判所で争うのかをあらかじめ決めておきます。

自社の本店所在地を管轄する裁判所を指定しておくことは、遠方の裁判所まで足を運ぶ手間と費用を省くための有力な手段となります。

また、他国との契約の場合は、どの国の法律を基準とするかという準拠法の指定も、欠かせない対応となります。

弁護士へ相談するメリット

 

自社だけで契約書をリーガルチェックすることには、法的リスクを見落とす可能性があります。

契約書のリーガルチェックにAIを活用することも想定されますがそれだけでは一般的な法的リスクの抽出はできても取引実態に即したリスクの把握や契約の相手方の「姿勢」や「品性」までは明らかにはなりません。

法的には問題はなくても過剰な条件を押し付けたり問題発生時の片務的な免責を定めた一方的な条項を記載したえげつない契約書案を提示してくるような相手方は一定の確率で契約上の地位を濫用したり合意内容異なる取扱いの既成事実化をはかったりする傾向がありますので契約締結交渉の中で対策をとらねばなりません。そのために弁護士との協働は不可欠です

まとめ

 

今回は、他社と契約を締結するときに確認すべきポイントについて解説しました。

他社と取引を行うときの契約は、目的を明確にする点や、紛争防止のために非常に重要となります。

自社のみで行うと、不利益条項などを見落としてしまう可能性もあります。

不安な方は、弁護士に相談することを検討してください。

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三堀 清

(みほり きよし)

弁護士の存在意義は、法律的紛争の予防・回避と、
発生した紛争の早期解決の実を挙げることに尽きます。

私どもは、一般民事・刑事事件の分野並び企業法務及び取引に関する分野での経験に裏打ちされた専門性と新しい法律問題にも斬新な手法をもって挑戦する柔軟性を武器に、迅速な対応により、依頼者の方々に結果をもってお応えすることを使命として、日々実務を通じた研鑽を進めております。

所属
  • 第二東京弁護士会
経歴
  • 昭和32年 生まれ
  • 昭和56年 早稲田大学法学部卒業
  • 昭和60年 司法試験合格平成8年
  • 早稲田大学大学院法学研究科(企業法務専攻)修了
  • 平成9年 港区新橋に三堀法律事務所設立
  • 平成14年 三洋投信委託㈱(現プラザアセットマネジメント㈱)監査役就任(平成16年まで)
  • 平成15年 千代田区有楽町に事務所を移転
  • 平成17年 ㈱ニチリョク監査役就任(平成29年まで)
  • 令和6年 三堀法律事務所が丸ビル綜合法律事務所と合併

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