債権回収における仮差押の流れと必要書類
売掛金の回収では、訴訟の判決を待つ間に相手方が財産を処分してしまうと、勝訴しても回収は困難となるでしょう。
そこで先に相手方の財産を押さえておく手段として、民事保全法にもとづく仮差押が用いられます。
本記事では、仮差押の申立てから執行までの流れと、そろえておく必要書類を説明します。
仮差押が認められるための要件
民事保全法20条1項は、金銭債権について強制執行ができなくなるおそれや著しい困難が生じるおそれがある場合に、仮差押命令を発することができると定めています。
必要なのは被保全権利の存在と保全の必要性の2つで、いずれも本案訴訟のような証明ではなく疎明で足りる点が特徴です。
もっとも、対象とする財産が債務者の事業活動に与える影響が大きいほど必要性の疎明は厳しく求められ、不動産よりも預貯金や売掛金、さらに動産の順に発令のハードルが上がります。
申立てから執行までの流れ
仮差押は債務者に知られないまま進めることが前提となるため、通常の訴訟とは異なる順序をたどります。
申立てと裁判官との面接
申立先は、本案の訴訟を管轄する裁判所または目的物の所在地を管轄する地方裁判所です。
申立て後は債権者と代理人だけが裁判官と面接し、申立書と疎明資料について質問を受けます。
債務者を呼び出す手続きは行われず、疎明が十分であれば数日から1週間程度で判断が示されます。
担保の提供と保全執行
裁判官が申立てに理由を認めると担保を立てるよう命じる決定が出され、指定された期間内に法務局へ担保金を供託します。
担保の額は事案によって決まりますが、請求債権額の15パーセントから30パーセント程度が目安です。
供託書を裁判所に提出すると仮差押命令が発令され、不動産では仮差押の登記、預貯金や売掛金では第三債務者への送達によって支払いが止まります。
その後は本案訴訟で勝訴判決を得て確定させ、本執行に移して回収を実現する流れです。
申立てに必要な書類と費用
申立ての段階で、次の資料をそろえておきます。
- 仮差押命令申立書と当事者目録、請求債権目録、物件目録または差押債権目録
- 契約書、注文書、請求書、納品書、取引履歴といった債権の存在を示す資料
- 債権者と債務者の登記事項証明書
- 不動産を対象とする場合の登記事項証明書と固定資産評価証明書
費用は申立て1件につき収入印紙2000円と送達用の郵便料が必要で、これに供託する担保金の準備が加わります。
まとめ
仮差押は、要件の疎明から担保の供託を経て執行に至る手続きで、財産の種類によって認められやすさが変わります。
資金の手当てと資料の収集を並行して進める必要があり、相手方の財産を調べる段階から時間を要します。
取引先の支払いが滞り始めた時点で動き出せば、押さえられる財産が残っている可能性も高まるでしょう。
債権回収や仮差押の準備でお困りの際は、丸ビル綜合法律事務所へお気軽にご相談ください。
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三堀 清
(みほり きよし)
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私どもは、一般民事・刑事事件の分野並び企業法務及び取引に関する分野での経験に裏打ちされた専門性と新しい法律問題にも斬新な手法をもって挑戦する柔軟性を武器に、迅速な対応により、依頼者の方々に結果をもってお応えすることを使命として、日々実務を通じた研鑽を進めております。
- 所属
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- 第二東京弁護士会
- 経歴
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- 昭和32年 生まれ
- 昭和56年 早稲田大学法学部卒業
- 昭和60年 司法試験合格平成8年
- 早稲田大学大学院法学研究科(企業法務専攻)修了
- 平成9年 港区新橋に三堀法律事務所設立
- 平成14年 三洋投信委託㈱(現プラザアセットマネジメント㈱)監査役就任(平成16年まで)
- 平成15年 千代田区有楽町に事務所を移転
- 平成17年 ㈱ニチリョク監査役就任(平成29年まで)
- 令和6年 三堀法律事務所が丸ビル綜合法律事務所と合併
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