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企業法務の観点から見る個人情報の取扱いの注意点

企業経営において、個人情報は単なるデータではなく、顧客や従業員との信頼の絆を象徴する重要な資産です。

近年、デジタル化の進展に伴い、膨大な情報の収集と活用が容易になった一方で、漏洩や不適切な利用に対する社会の目は極めて厳しくなっています。

企業法務の現場では、個人情報保護法を遵守するだけでなく、組織全体としてリスクを管理するための体制を整えることが求められます。

今回は、企業法務の観点から個人情報の取扱いにおける注意点について解説します。

個人情報保護法の基本原則と義務の整理

 

個人情報保護法は、個人の権利と利益を保護しつつ、情報の有用な活用を図ることを目的としています。

企業はこの法律上の「個人情報取扱事業者」として、情報の取得から廃棄に至るまで、適正な管理を行う義務を負います。

したがって、以下のような点に注意する必要があります。

利用目的の特定と通知の徹底

 

個人情報を取得する際は、その利用目的をできる限り具体的に特定しなければなりません。

「事業活動のため」といった抽象的な表現ではなく、どのようなサービスに、どのような形で使用するのかを明示することが求められます。

特定された目的は、あらかじめ公表するか、本人に直接通知する対応が必要です。

たとえば、ウェブサイト上のプライバシーポリシーにおいて、情報の使途を網羅的に記載することが一般的な対応となります。

適正な取得と要配慮個人情報への配慮

 

情報は偽りや不正な手段で取得してはならず、本人の同意が必要な場面を正確に把握しておくことが重要です。

特に、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴といった「要配慮個人情報」については、原則としてあらかじめ本人の同意を得なければ取得自体が認められません。

これらの情報は不当な差別や偏見を招く恐れがあるため、取り扱いには細心の注意を払う必要があります。

企業が行うべき安全管理措置

 

取得した個人情報を安全に管理することは、企業にとって最も重い責任の1つです。

法律では、情報の漏洩、滅失、または毀損を防止するための「安全管理措置」を講じることが義務付けられています。

組織的・人的安全管理措置

 

組織的な対応として、個人情報の取扱いに関する責任者を設置し、報告連絡体制を整備することが求められます。

また、従業員に対して定期的な教育や研修を行い、情報の重要性を再認識させる体制を整えることが大切です。

従業員の不注意や知識不足による漏洩は、企業にとって甚大な不利益を招く原因となります。

守秘義務に関する誓約書を締結し、法的拘束力を持たせることが有効です。

物理的・技術的安全管理措置

 

物理的な対策としては、個人情報を取り扱う区域の管理や、書類・媒体の施錠管理が挙げられます。

また、技術的な対策として、アクセス権限の制限や、ウイルス対策ソフトの導入、通信の暗号化などを実施します。

第三者提供と委託先の監督

 

自社で保有する個人情報を、外部の企業や団体に提供する際には、厳格なルールが存在します。

本人同意の原則と例外事項

 

原則として、あらかじめ本人の同意を得なければ、個人データを第三者に提供することはできません。

ただし、法令に基づく場合や、人の生命、身体、または財産の保護のために緊急を要する場合などは、同意なしでの提供が認められることがあります。

委託先の適切な選定と監督

 

業務の一部を外部に委託し、それに伴って個人データを受け渡す場合、提供側には「委託先の監督義務」が生じます。

委託先が自社と同等以上の安全管理措置を講じているかを確認し、契約書において情報の取扱いに関する条項を明確に定める必要があります。

漏洩事案発生時に企業が行うべき対応

 

個人情報の漏洩が発生してしまった場合、企業は迅速かつ誠実な対応を迫られます。

報告と通知の義務化

 

2022年の法改正により、一定の重大な漏洩事故が発生した場合には、個人情報保護委員会への報告と、本人への通知が法律上の義務となりました。

事故を隠蔽しようとしたり、対応が遅れたりすることは、行政処分を受けるリスクを高めるだけでなく、企業の社会的な信用を失うことになります。

事実関係の調査と再発防止策の策定

 

いつ、どこで、どのような情報が漏れたのかを詳細に調査し、原因を特定することが必要となります。

客観的な証拠に基づいて状況を判断し、再発防止策を対外的に公表することが求められます。

まとめ

 

今回は、企業法務の観点から個人情報の取扱いについて解説しました。

グローバル化している現代において、企業の個人情報の取り扱いは、細心の注意を払う必要があります。

自社の個人情報の体制について不安がある場合や、新たに体制を整備したいとお考えの方は弁護士に相談することを検討してください。

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三堀 清

(みほり きよし)

弁護士の存在意義は、法律的紛争の予防・回避と、
発生した紛争の早期解決の実を挙げることに尽きます。

私どもは、一般民事・刑事事件の分野並び企業法務及び取引に関する分野での経験に裏打ちされた専門性と新しい法律問題にも斬新な手法をもって挑戦する柔軟性を武器に、迅速な対応により、依頼者の方々に結果をもってお応えすることを使命として、日々実務を通じた研鑽を進めております。

所属
  • 第二東京弁護士会
経歴
  • 昭和32年 生まれ
  • 昭和56年 早稲田大学法学部卒業
  • 昭和60年 司法試験合格平成8年
  • 早稲田大学大学院法学研究科(企業法務専攻)修了
  • 平成9年 港区新橋に三堀法律事務所設立
  • 平成14年 三洋投信委託㈱(現プラザアセットマネジメント㈱)監査役就任(平成16年まで)
  • 平成15年 千代田区有楽町に事務所を移転
  • 平成17年 ㈱ニチリョク監査役就任(平成29年まで)
  • 令和6年 三堀法律事務所が丸ビル綜合法律事務所と合併

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